取材の終盤、話題は不可避的に麻原彰晃元死刑囚、そして1995年の地下鉄サリン事件へと及んだ。狂気の命令が下されたあの時期、幹部たちの内部で何が起きていたのか。公判や報道では十分に語られなかった未公開の証言が、静かに紡がれた。
「教祖の言葉が絶対化され、異常な密室性が形成されたとき、人間の理性が失われていく」。彼は自らの愚かさと盲従を隠すことなく振り返る。地下鉄サリン事件という未曾有の無差別テロを阻止できなかった痛恨の念は、今も胸の奥底に重く沈んでいるという。盲信の恐怖を自らの肉声で語り継ぐことこそが、残された者に課された唯一の義務だと彼は考えている。