1968年に放送を開始した『夜のヒットスタジオ』は、日本のテレビ史における記念碑的な音楽番組だ。当時、台本通りに進行するのが常識だったテレビ放送業界において、生放送ならではのハプニングや歌手同士の掛け合いをエンターテインメントに仕立て上げた立役者こそが彼女だった。フジテレビジョンが威信をかけて制作した同番組で、彼女は20年近くにわたりメイン司会を務め上げた。
台本を丸暗記するのではなく、スタジオの空気感を肌で感じ取りながら瞬時に言葉を紡ぎ出すスタイルは画期的だった。突然涙を流すアイドルにも、気難しい大御所歌手にも、彼女は絶妙な間合いで寄り添い、本音を引き出した。予定調和を嫌い、生のハプニングさえも極上のドラマに変えてしまう手腕は、後進の司会者たちに計り知れない影響を与えている。