長寿を全うし最後は苦しまずに旅立ちたいという庶民の願いは、決して現代だけの現象ではない。その根底には、平安時代に活躍した恵心僧都(源信)が著した『往生要集』に象徴される極楽浄土への憧憬と、極楽往生を願う信仰の系譜が存在する。人々は自らの生と死に向き合いながら、阿弥陀仏の救済を祈り続けてきた。
さらに、真言宗の開祖である弘法大師空海にまつわる大師信仰も、こうした祈りの土台を強固なものにしている。即身成仏や衆生済度の強い誓願を残した空海の教えは、病苦に苦しむことなく平穏な最期を迎えたいという民衆の切実な祈りと結びついた。平安・鎌倉の昔から今日に至るまで、ぽっくり信仰は人々の不安をやわらげる心の拠り所であり続けている。