「宇宙空間に行けば、破格の危険手当がつくはずだ」と考える読者も多いはずです。大気圏再突入時の過酷なG、船外活動(EVA)における宇宙服破損のリスク、致死量の宇宙放射線被ばくなど、宇宙飛行士の任務は文字通り命懸けです。しかし、宇宙滞在手当の支給額の実態は、驚くほどつつましいものです。
JAXAの内部規程では、ISS(国際宇宙ステーション)滞在中などの特殊勤務に対して「宇宙飛行作業手当」のような特殊手当が設定されています。しかし、その金額規模は日額換算で数千円から、高くても数万円程度とされています。半年間(約180日)宇宙に滞在したとしても、手当の総額は数十万〜200万円前後の上乗せに過ぎません。
宇宙飛行士の手当の内訳を現実的に支えているのは、宇宙そのものの危険手当というよりも、NASAジョンソン宇宙センター(テキサス州ヒューストン)や欧州宇宙機関(ESA)などでの長期訓練に伴う「在外勤務手当(海外赴任手当)」や住居手当、出張旅費です。為替レートの影響を受けるものの、海外拠点で生活するための実費補填が手当の大部分を占めており、「命のリスクを換金して大金を稼ぐ」という構造には全くなっていないのが実情です。