神の杖の基本メカニズムは、火薬や核分裂反応を利用する従来の爆弾とは根本的に異なる。重力と速度がもたらす運動エネルギー弾(Kinetic Energy Penetrator)の物理法則そのものを破壊力へと変換する仕組みだ。
軌道上に待機させた軍事衛星プラットフォームから、電柱ほどのサイズ(直径約30センチ、長さ約6.1メートル、重量約9トンから10トン)の金属棒を地球に向けて射出する。使用される素材は超高融点と高い比重を誇るタングステン合金である。大気圏再突入時の超高温(数千度)に耐え、空力摩擦による質量の減少を防ぐために不可欠な素材選定だった。
自由落下と小型ロケット推進によって加速したタングステン弾は、地表到達時にはマッハ10(秒速約3.4キロメートル)以上の猛烈な速度に達する。この超音速の質量が着弾した瞬間、凄まじい運動エネルギーが一気に熱と衝撃波へと変換され、小型戦術核に匹敵する破砕効果を生み出す設計となっていた。