将棋界の頂点に君臨し続けてきた羽生善治。彼の学生時代は、まさに勝負師としての才能が花開く過酷な過渡期と重なっていた。小学生の頃から八王子将棋クラブに通い詰め、圧倒的な強さで頭角を現した彼は、中学3年生にしてプロ入り(四段昇段)を決める。この快挙は、当時の盤上を揺るがす大きな衝撃だった。
10代半ばという多感な時期に、すでに大人たちと対等の盤上で命を削るような戦いを繰り広げていたのだ。学校の教室で机に向かう時間と、東京・千駄ヶ谷の将棋会館でしのぎを削る時間。その二重生活の中で、彼はどのように自分自身を維持し、学びを深めていったのだろうか。知られざる少年時代の苦悩には、天才の原点が隠されている。