羽生結弦のキャリアを語る上で欠かせないのが、自らの世界記録を何度も更新し続けた2大名プログラム、ショパンの『バラード第1番』と映画『陰陽師』より『SEIMEI』です。
ショートプログラムの名作『バラード第1番』は、羽生が競技人生で計4シーズンにわたって磨き上げた究極の作品です。2015年長野NHK杯で世界初となるショート100点越え(106.33点)を皮切りに、2015年バルセロナGPファイナル(110.95点)、2017年オータムクラシック(112.72点)、そして平昌五輪後の2026年四大陸選手権(111.82点)と、滑り込むたびに自らの世界最高得点を更新し続けました。ピアノの繊細な旋律と高難度ジャンプの完全な調和は、全ジャッジから満点に近い出来栄え点(GOE)を引き出しました。
一方、フリースケーティングの『SEIMEI』は、2015年バルセロナGPファイナルにおいて技術点120.92点、構成点98.56点、合計219.48点という当時の常識を覆す異次元のスコアを叩き出しました。和の精神性と卓越したエッジワーク、完璧な4回転ジャンプの着氷が織りなす荘厳な世界観は、ジャッジのみならず世界中の観客を魅了。この大会でマークした総合得点330.43点は、フィギュアスケート界のパラダイムシフトを決定づけました。