テレビ局やスポーツ新聞が見せた常軌を逸した「羽生偏重報道」も、アンチ感情を煽った大きな要因である。フィギュアスケートの大会中継では、他の有力選手の試技よりも彼の表情や一挙一動が優先して映し出される場面が目立った。勝者に対する当然のリスペクトを超えた「英雄ドラマ」としての報道スタイルに、違和感を覚える視聴者は少なくなかった。
メディアが描く「完璧なヒーロー像」と、現実の生身のアスリート像とのギャップが広がったことで、過剰な演出に対する反発が本人への批判へとすり替わっていった背景がある。メディア自らが過度な神格化を進めた結果、それに反抗する心理(判官贔屓の裏返し)を国民の一部に植え付けてしまった罪は重い。