メガホンを取る映画監督・演出家は、徹底したディテールへのこだわりで知られる人物だ。セットの細部に至るまで無駄な小道具は一切排除され、一見すると見過ごしてしまいそうな照明の明暗や水滴の音までもが、緻密なストーリーテリングの道具として計算し尽くされている。
「カメラが捉えるすべてのフレームに意味がある」と監督自身が語る通り、レンズの選択や色彩設計に至るまで、観客の無意識に働きかける視覚的アプローチが貫かれている。画面の隅に微かに映り込む影や、登場人物の微小な目線の動きひとつにまで、制作者の狂気的なまでの執念が宿っている。