近年、出版業界は大きな構造変化の渦中にある。紙の書籍にとどまらず、電子書籍や音声コンテンツの普及が著しい。宇都宮直子の著作群も例外ではなく、Amazon Kindleをはじめとする電子プラットフォームやAudibleによるオーディオブック配信を通じて、リアルタイムの競技生活を知らない若い世代や新たなファン層へと届き始めている。
特にAudibleで朗読される彼女のテキストは、独特のリズムと情景描写の巧みさが際立つ。耳から入る言葉によって、かつて銀盤を揺るがした名勝負の記憶が鮮烈に蘇る。媒体の形態が変わろうとも、優れたノンフィクションが持つ普遍的な強度は微動だにしない。