与党と野党の間にある最大の壁は、国家のルール(法律)と予算を作る現場における権限の格差です。その実態を象徴するのが「法案提出権」の違いです。
法律案には、内閣が提出する「内閣提出法案(閣法)」と、国会議員が提出する「議員提出法案(衆法・参法)」の2種類があります。法案提出権における閣法と衆法の違いは、成立率と作成体制に圧倒的な開きを生み出しています。
閣法は、各省庁の優秀な官僚組織が総出で法制局の厳格な審査を経て作成し、閣議決定を経て国会へ提出されます。与党が過半数を握る通常国会では、提出された閣法の成立率は概ね80%から90%前後に達します。これに対し、野党議員が提出する衆法・参法は、議席要件(衆議院では20人以上、予算を伴うものは50人以上の賛成者が必要)を満たすだけでもハードルが高く、与党の賛同が得られない限り審議入りすら見送られるケースが珍しくありません。
また、国の財政運営を左右する予算案審議採決プロセスにおいても格差は歴然です。日本国憲法第60条に基づき、予算の作成・提出権は内閣のみに専属しており、国会には衆議院の予算先議権が認められています。野党は予算案に対して修正動議や組替動議を提出できますが、与党が多数派を維持している状況下では原案通り可決されるのが通例です。つまり、「官僚機構を使って予算と法案を一から構築できるか否か」こそが、与党と野党を分かつ最も冷徹な力関係といえます。