実験室や家庭での検証において、最も直接的かつ確実な判定基準となるのが加熱後の変化と燃焼実験です。中学理科のカリキュラムでも定番となっているこの実験には、物質の微視的な構造がそのまま巨視的な現象として現れます。
検証の手順は明快です。燃焼さじに試料を載せ、ガスバーナーの炎で熱した際の挙動を追跡します。有機物を加熱した場合、結合している炭素原子が不完全燃焼を起こして一時的に遊離炭素となり、「黒く焦げる」という特徴的な変化を示します。さらに十分な酸素のもとで燃焼を続けると、物質を構成する炭素(C)が酸素と結びついて二酸化炭素(CO₂)となり、水素(H)が酸素と結びついて水(H₂O)となって気化・消失します。
このとき不可欠なのが水と二酸化炭素の発生確認です。集気びんの内側に付着した液体に青色の塩化コバルト紙を近づけて赤色(または桃色)に変色すれば水の存在が立証され、びんの中に石灰水を注いで振った際に白く濁れば二酸化炭素の発生が証明されます。この2つの反応が同時に確認された時点で、その物質は水素と炭素を主骨格とする有機物であると確定できます。
代表的な対比実験として知られるのが食塩と砂糖の違いです。見た目は同じ白い粉末ですが、試験管に入れて加熱すると挙動は完全に二極化します。砂糖(ショ糖:C₁₂H₂₂O₁₁)は加熱によって融解し、甘い香りとともに茶褐色から真っ黒に焦げ、最終的には二酸化炭素と水を放出して燃え尽きます。一方、食塩(塩化ナトリウム:NaCl)はナトリウムイオンと塩化物イオンが強固なイオン結合で結ばれた無機物です。融点は約801℃と極めて高く、家庭用のコンロや教育用のバーナー程度の熱(500〜600℃)では融解すら起きず、焦げることもありません。激しくパチパチと飛び散るだけで炭素は一切析出しません。
一般消費者の間でしばしば疑問視されるのが「プラスチックは有機物か」という点です。プラスチック(合成樹脂)は石油由来のナフサを原料として重合させた高分子化合物であり、炭素同士が無数に連なった長大な炭素骨格を持ちます。加熱すれば融解して燃焼し、二酸化炭素を排出することからも、プラスチックは疑いようのない有機物です。