ネット上で頻繁に引用される「油断したねぇ」というセリフの発祥は、尾田栄一郎氏による海洋冒険ファンタジー『ONE PIECE』に登場する海軍大将・黄猿(本名:ボルサリーノ)です。自然(ロギア)系悪魔の実「ピカピカの実」の能力者であり、光の速度で移動・攻撃を繰り出す黄猿は、その飄々とした掴みどころのない性格と、圧倒的な破壊力のギャップで読者に強烈なインパクトを与え続けています。
この名言が放たれた決定的な場面は、原作コミックス第52巻収録の第510話「天竜人」、およびテレビアニメ版の第402話「圧倒的!海軍戦闘兵器パシフィスタ」です。舞台は、世界貴族への暴行事件を発端に海軍大将の出動事態となったシャボンディ諸島。億超えの賞金首である「最悪の世代」の海賊たちが次々と海軍の猛攻に晒される中、黄猿は単身でルーキーたちの前に立ちはだかりました。
この時、手長族の海賊スクラッチメン・アプーが自身の「アプアプの実(音響能力)」を駆使し、遠距離から黄猿の体を真っ二つに切断・爆破する奇襲攻撃を仕掛けます。見事に大将を一撃で仕留めたと確信したアプーは高笑いしながら逃走を図りますが、光の粒子となって瞬時に再生した黄猿が、光速移動でアプーの背後に音もなく先回りしました。その背後から、一切の焦りを感じさせない緩慢なトーンで冷酷に囁かれたのが、まさにこのセリフです。
「油断したねェ……『音』かね…厄介な能力(ちから)だねェ…」
直後、黄猿は「スピードは…重さ…光の速度で蹴られた事はあるかい?」という歴史的決め台詞とともに、アプーを光速の蹴りで建造物ごと蹴散らしました。奇襲の成功に歓喜した直後の絶望、そして絶対強者による慈悲なきカウンター。この極限の落差が、読者の脳裏に「油断したねぇ」という言葉を強烈なトラウマ級の名言として刻み込んだのです。