駅前や商業施設に並ぶ緑の看板。そこに設置された端末へ硬貨を流し込む光景は、ここ数年で様変わりした。現在のゆうちょ銀行では、ATMに硬貨を1枚投入しただけでも「硬貨取扱手数料」が発生する。硬貨の枚数に応じて110円、220円、330円と段階的に引き上げられる料金体系は、少額預金者にとって無視できない負担だ。
たとえば、貯金箱から集めた1円玉や5円玉を計100枚入金しようとすると、合計額が数十円から数百円程度であっても数百円の手数料が差し引かれ、口座残高がむしろ減ってしまう逆転現象が起きる。日本銀行による長年の金融緩和政策がもたらした超低金利環境下において、リテールバンキング各社は現金管理に伴う莫大なコストを自前で吸収しきれなくなった。金融機関が利ざやで稼げない時代、硬貨の取り扱いは「無料サービス」から「実費負担サービス」へと完全に舵を切った格好だ。