インターネット上の掲示板や知恵袋などで散見される最大の誤解が、「水彩画は油彩画の下絵(習作)に過ぎず、資産価値としては一段劣るのではないか」という先入観です。確かに昭和の美術市場においては「油彩・日本画至上主義」が存在し、水彩画は安価なホビーアートとして扱われがちでした。
しかし、永山裕子氏の登場はこのヒエラルキーを打ち壊しました。同氏は絵具を水で溶いて塗るという単純な作業ではなく、支持体の上で顔料を物理的に泳がせ、水分の蒸発速度と重力を計算し尽くした高度なレイヤリング(重層描画)を行います。その技術水準と重厚な精神性は、国内外の美術館関係者やファインアートの鑑定士からも「油彩画と同等以上の芸術的密度を持つ」と高く評価されています。
また、作家本人が開発に携わった「永山裕子セレクト絵具セット」(ホルベイン社)や、機能性を極めた特製パレット、ロングセラーを続ける水彩画技法DVDシリーズや画集・カレンダーの普及により、技法の独自性が広く認知されたことも価値を押し上げました。「誰にでも描けそうで、絶対に真似できない」という唯一無二のオリジナリティこそが、価格が崩れない最大の防波堤となっています。