駅の伝言板を語るうえで絶対に外せないのが、漫画家・北条司による名作『シティーハンター』の存在だ。主人公の冴羽獠に仕事を依頼する唯一の手段、それが巨大ターミナルである新宿駅の伝言板に書き込む「XYZ」の3文字だった。アルファベットの最後の3文字――すなわち「後がない」「助けてくれ」を意味する暗号は、当時の若者たちの心を強く揺さぶった。
作品の歴史的大ヒットを受け、当時の新宿駅の黒板には、ファンによる戯れの「XYZ」が殺到したという逸話が残る。実生活の連絡手段であった板が、フィクションと現実を交差させるメディアへと昇華した瞬間だった。世界的なヒットを記録したNetflixの実写映画版でも、この伝言板は物語を象徴する重要なアイコンとして鮮烈に描かれ、海外ファンにもその文化が知れ渡ることとなった。