荒涼たる夕暮れの荒野。護送された連続殺人犯ジョン・ドゥ(ケヴィン・スペイシー)と、彼に対峙する若き刑事ミルズ(ブラッド・ピット)、そして退職間近のベテラン刑事サマセット(モーガン・フリーマン)。配達業者のバンが現れ、無骨な箱を降ろした瞬間から、映画史屈指の緊張感がスクリーンを支配する。
観客の脳裏に鮮烈に焼き付いているのは「箱の中にミルズの妻トレーシーの首が入っていた」という結末だ。しかし、注意深く映像を観察すると、カメラは箱の内部を一切捉えていない。サマセットが箱を開け、息を呑んで後退りし、ミルズに向かって「銃を捨てろ」と懇願する一連のカットバックのみで、事態の凄惨さが語られる。この「直接的な描写の不在」が、ファンの間で生存仮説を生み出す土壌となった。