関係者向け試写で提示された未公開映像には、息をのむような映像美が凝縮されていた。特筆すべきは、光と影の緻密な計算によって捉えられた日本の四季の情景と、人物の感情のダイナミズムが見事にシンクロしている点だ。フィルムライクな味わい深い質感は、配信画面越しであっても観る者を物語の深層へと瞬時に引きずり込む。
圧巻はクライマックスに位置する約10分間の無言の対話シーンだ。台詞を極限まで削ぎ落とし、視線と微かな呼吸音だけで感情の暗流を表現する演出は、これまでの邦画の常識を心地よく裏切ってくれる。静寂の中にみなぎる緊張感こそ、本作が映像美の最高峰と称される最大の理由である。