そもそも、なぜ銀座線渋谷駅は明治通り上空という前代未聞の場所へ移転したのでしょうか。その背景には、昭和初期から続いていた駅構造の抜本的な限界がありました。
1938年(昭和13年)の開業以来使われていた旧ホームは、乗車用と降車用が分かれた2面2線の狭いホームでした。1日数十万人が利用するメガステーションでありながらホーム幅が約3メートルほどしかなく、ラッシュ時の混雑や安全確保、バリアフリールートの確保が極めて困難な状態に陥っていました。
そこで進められたのが、渋谷駅街区全体の基盤再編事業です。東急百貨店東横店の解体や渋谷川の移設、駅前広場の再編と連動し、線路を東側に移設して幅約12メートルの広々とした1面2線の島式ホームを新設しました。M字型の白いアーチ屋根が特徴的な現駅舎は、柱のない開放的な空間を実現し、混雑緩和とホームドア設置による安全性向上を成し遂げた都市再生の象徴です。