日本の音楽シーンにおける歌唱力の評価軸は、ここ数年で大きく様変わりした。かつてのような「高音が出るか」「声量が大きいか」といった画一的な基準は鳴りを潜め、現在は「声質のコントロール」「リズムのグルーヴ感」「歌詞の世界観を解釈するストーリーテリング能力」が重宝される時代だ。
プロの音楽家50名へのヒアリング調査を集計した結果、トップ5に名を連ねたのは玉置浩二、MISIA、大森元貴(Mrs. GREEN APPLE)、Ado、そして藤井風の5名であった。ジャンルも世代も異なる彼らだが、共通しているのは「どんな音響環境でも自分の声量を完璧にコントロールし、聴き手の脳裏に映像を浮かび上がらせる能力」である。ベテラン勢の圧倒的な熟練度と、新世代の変幻自在なアプローチが見事に拮抗する結果となった。