2019年、日本ヴォーグ社から刊行された初の作品集『時間(とき)の花束 Bouquet du temps』は、出版界に大きな衝撃を与えた。引退後、公の出版物から距離を置いていた彼女が、約30年間にわたり制作した70点以上のキルト作品を一挙に公開したからだ。
ページをめくると広がるのは、息を呑むような大作キルトの数々と、本人の筆による飾らないエッセイである。そこには、かつてのアイドルとしての面影ではなく、指先にタコを作りながら布と対話し続けた一人の職人の素顔があった。発売と同時に異例の重版を重ね、累計発行部数は手芸関連書としては異例のメガヒットを記録。この一冊によって、三浦百恵という名は名実ともに日本のトップキルトアーティストとして歴史に刻まれることとなった。