ヨーロッパ各地の民間伝承・神話学を紐解くと、地中に棲まう小柄な精霊や鍛冶職人たちの伝説が数多く見出される。北欧神話の「エッダ」に登場する彼らは、神々の武具を鍛え上げる卓越した技術を持ちながら、どこか謎めいた異形の存在として描かれてきた。
この土着的な伝承を近代文学の金字塔へと昇華させたのが、J・R・R・トールキンである。彼が構築したハイ・ファンタジーの壮大な世界において、ドワーフは誇り高く頑強な戦士の種族として独自の言語と文化を与えられた。ワーナー・ブラザースが映画化した『ロード・オブ・ザ・リング』三部作によって、トールキンが定義した造形はグローバルな視覚的スタンダードとして決定づけられることになる。
しかし、それは同時に視覚的記号としての定型化を生み出す契機でもあった。屈強で髭を蓄え、斧を振るう頑固者——ファンタジーのお約束として固定化されたイメージは、後続の映像作品にも踏襲されていく。