1998年に刊行された著書『五体不満足』は、社会に強烈なインパクトを与えた。爽やかな青年が障害を肯定的に捉える姿は、当時の日本においてセンセーショナルであり、単なる自伝・ドキュメンタリーの枠を超えて空前のベストセラーとなった。しかし、その輝かしい眩しさが、逆に彼自身の首を絞める時期があったことも否めない。「優等生」としてのイメージを強制される不自由さに、彼は長年葛藤してきた。
四半世紀以上の時を経て、その捉え方は大きく進化を遂げている。かつての爽やかな啓蒙家から、泥臭く現実社会の矛盾と闘う言論人への変貌である。光も影もすべてを晒した上で立ち上がる彼の姿は、もはや過去のドキュメンタリーに描かれた「文部省推薦の模範生」ではない。一人の生活者としての葛藤と覚悟が、言葉の重みとなって現れている。