「中央卸売市場が豊洲へ移ったあと、築地は寂れてしまったのではないか」——そんな懸念を抱く人も多い。だが、それは大きな誤解だ。旧場内市場の跡地こそ工事用のフェンスで囲まれているものの、隣接する築地場外市場には約400もの専門店がひしめき合い、連日押し寄せる人波でごった返している。
早朝6時。魚河岸の風情を残す細い路地には、新鮮なウニやマグロを求める行列ができていた。かつてプロの買い出し人で賑わった通りは、今やグローバルな食の観光拠点だ。競りの熱気は豊洲へと引き継がれたが、庶民の胃袋を支えてきた食文化の脈動は、間違いなくこの場所で打ち続けている。