1970年代中盤、日本の芸能界は大きな転換点を迎えていた。花の中三トリオが大人びた表情を見せ始めるなか、お茶の間が求めていたのは、隣にいるかのような親近感と圧倒的な愛らしさを兼ね備えた新しいヒロインだった。その空白地帯に彗星のごとく現れたのが大場久美子だ。
オーディションをきっかけに芸能界入りを果たした彼女は、瞬く間にトップアイドルの座へと駆け上がる。トレードマークとなった大きな瞳、くるくると変わる豊かな表情、そして弾けるような笑顔。「一億人の妹」という伝説のキャッチコピーは、単なる宣伝文句ではなく、当時の日本国民の偽らざる心情そのものだった。
街中のレコード店や文房具屋には彼女のポスターが溢れ、ブロマイドの月間売上ランキングでは連続首位を独走。手の届かない高嶺の花ではなく、誰もが応援したくなる身近な妹のような存在感で、昭和アイドルカルチャーにまったく新しい潮流を巻き起こした。