暴力の象徴として世間に名を刻んだ男の原点は、意外にも緑の芝生の上にあった。かつて東京ヴェルディ1969ユースに所属していた彼は、卓越した身体能力と天性のサッカーセンスを誇り、将来のプロ入りを嘱望されるトップアスリートの卵だったのだ。指導者やチームメイトも舌を巻くほどのフィジカルと瞬発力は、間違いなく日本のフットボール界で輝くはずの才能だった。
しかし、思春期の歯車は突如として狂い始める。規律を重んじるアスリートの日常から、夜の街が放つ刹那的な刺激への傾倒。ピッチの上で発揮されるべきだった強靭な肉体と闘争心は、やがて歓楽街の路地裏で振るわれる破壊的な腕力へと歪んだ形で変換されていった。将来を有望視されたサッカー少年が、なぜストリートの暗渠へと堕ちていったのか。その軌跡には、若者が都市の闇に呑まれていく構造的な悲劇が横たわっている。