堀道広氏の活動を語る上で欠かせないのが、そのユニークすぎる経歴とプロフィールです。1975年富山県生まれの堀氏は、名門として知られる石川県立輪島漆芸技術研修所を卒業。人間国宝をはじめとする一流の職人たちが集う環境で、天然の漆を使った伝統的な漆芸技術を基礎から徹底的に叩き込まれました。
職人としての確かな腕前を持つ一方で、1998年には伝説的カルチャー誌『月刊漫画ガロ』で漫画家として鮮烈にデビューを果たします。独自のヘタウマ調の描線と、日常に潜むおかしみやペーソスを描いた作風でカルト的な人気を獲得。漆をテーマにした異色の青春ギャグ漫画『青春うるはし!うるし部』(青林工藝舎)をはじめ、多彩な単行本や雑誌連載を手がけてきました。
漆職人としての確かな下地を持ちながら、漫画家としての柔軟な発想力とユーモアを併せ持つ――この稀有なハイブリッド性こそが、堀氏の金継ぎを特別な存在に押し上げた最大の原動力です。