否定的な側面が強調される一方で、一日一食を支持する最大の理論的支柱となっているのが、2016年のノーベル生理学・医学賞受賞以降、研究が深化を続けるオートファジー(自食作用)と、抗老化の鍵を握るサーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)の存在です。
人体が最後の食事を終えてから約12〜16時間が経過すると、体内のグリコーゲンが枯渇し、細胞はエネルギー飢餓に直面します。この局面で活性化するのがオートファジー機構です。細胞内の古くなった不良タンパク質や変性したミトコンドリアを自ら分解・再利用し、新しい細胞構成要素へとリサイクルする自浄プロセスがフル稼働します。これによって慢性炎症の抑制や動脈硬化予防、細胞レベルでの若返り効果が発現することが、数多くの国際論文で報告されています。
加えて、絶食によって細胞内のNAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)比率が上昇すると、不活性化していたサーチュイン遺伝子(特にSIRT1およびSIRT3)のスイッチがオンになります。サーチュインはDNA修復を促進し、酸化ストレスに対する耐性を高め、ミトコンドリアの生合成を促進することが知られています。一日一食がもたらすダイエット効果の真価は、単なる体重数値の減少にとどまらず、細胞の代謝スイッチを強制的にリフレッシュする点にあることは紛れもない生化学的事実です。