SNSや不動産相談プラットフォーム(知恵袋や大手コミュニティ)を調査すると、面積に関して極めて頻繁に投稿される切実な悩みがあります。
「70㎡(約21.1坪)の分譲マンションを購入したのに、実際に採寸してみると家具がカタログ通りに入らない」
「登記簿謄本を取り寄せたら、パンフレットに書かれていた専有面積より5㎡以上も狭くなっていた。騙されたのではないか」
現場取材を進めると、こうしたトラブルの根本には、日本の建築・法制体系が抱える「壁芯(へきしん)面積」と「内法(うちのり)面積」の二重基準が存在します。
建築基準法や販売広告で用いられる「壁芯面積」は、壁の厚みの中心線を結んだ面積です。これに対し、不動産登記法に基づく「内法面積」は、壁の内側の実際に居住可能な空間のみを測った面積を指します。鉄筋コンクリート造(RC造)のマンションでは壁の厚みが15〜20cm以上あるため、内法面積は壁芯面積よりも約5%〜8%程度目減りするのが一般的です。
70㎡のマンションであれば、登記簿上は「約65㎡〜66㎡」程度まで縮小します。この差は畳にして約3畳分に相当します。中古マンションの内見時に「思っていたより手狭だ」と感じる心理的ギャップの多くは、この計算基準の差異がもたらす構造的な盲点によるものです。
さらに2026年最新不動産表記ルール(不動産公正取引協議会連合会の規約改定運用)では、インターネット広告における面積表記の透明化がより一層厳格化されています。バルコニー面積やポーチ面積を専有面積に合算して広く見せかける不当表示の取り締まりが強化されているものの、買い手自身が「広告の数字は壁芯であり、実効面積は一回り小さい」という事実をリテラシーとして持っておく必要があります。