インターネット上の掲示板等で散見される誤解のひとつに、「偏差値が中堅レベルだから誰でも楽に卒業して資格が取れる」という言説があります。これは医療福祉教育の本質を見誤った極めて危険な認識です。
一般入試における倍率推移や偏差値指標だけを見れば、少子化の影響を受けて入り口の門戸は広がっているように映ります。しかし、医療福祉大学の真の関門は「入学後の進級判定」「臨床実習の履修可否基準」「卒業試験」に設置されています。国家試験の合格率を公表データ上で高く保つため、多くの大学では基準に達しない学生に対して容赦のない留年措置や卒業延期判断を下します。つまり、入学難易度と出口の厳しさは全く別物として捉えなければなりません。
また、対人援助職特有の「リアリティショック」にも注意が必要です。大学の講義室で学んだ理想論と、実際の医療現場における死生観、認知症ケアの困難さ、患者・家族とのコミュニケーション摩擦との間で心理的乖離に苦しみ、実習中に適性の不一致を痛感して進路を変更する学生が毎年一定数存在します。大学選びにおいては、学力テストのスコアだけでなく、自分自身の感情コントロール能力や倫理観を冷静に見つめ直す作業が求められます。