日本航空株式会社の長い歴史において、今回の人事は最大のサプライズと受け止められた。官僚出身者やパイロット、整備部門のエリートが歴代のトップを占めてきた同社において、東亜国内航空(後のJAS)に客室乗務員として入社した鳥取氏がグループの頂点に立った意味は極めて重い。
真相の一端は、同社が直面していた「安全の揺らぎ」にあった。現場と経営陣の間に生じがちな認識の溝を埋め、安全統括管理者として現場の生々しい課題と向き合ってきた実績こそが最大の評価ポイントだった。鳥取氏は決して派手な弁舌で煙に巻くタイプではない。相手の目を見て本質を突き、妥協を許さない実行力を持つ。企業経営・役員人事の定石を覆すこの決断は、同社が本気で風土改革を成し遂げるという強烈な意思表示だった。