カップ麺のフタを開けた瞬間、目に入るのは麺とスープの小袋のみ。チャーシューもメンマも、彩りを添えるネギすら一片も入っていません。通常のカップ麺であれば「手抜き」と批判されかねないこの構成について、開発責任者は自著や過去のメディア取材において「具材を入れることで、一蘭が20年以上かけて磨き上げた純粋なとんこつスープの風味が濁ることを避けたかった」と述懐しています。
一般的なカップ麺に用いられるフリーズドライのネギや肉具材は、熱湯で戻す際に特有の油分や乾物臭がスープへ溶け出します。店舗で提供される「味集中カウンター」と同じく、雑味のない純度100パーセントの豚骨スープと、それに絡む極細ストレート麺の喉越しだけを味わってもらうため、開発陣はあえて具材を完全排除する決断を下しました。
その開発思想を象徴するのが、別添されている「秘伝のたれ」です。唐辛子をベースに30種以上の材料を調合したこの赤い液体は、ただ辛味を加えるだけでなく、スープの甘みと豚骨特有のコクを引き締める役割を果たします。具材にかけるはずだった原価をすべて「液体スープ・粉末スープ・秘伝のたれ・特製ノンフライ麺」に注ぎ込んだ結果が、定価約490円(税込)という強気のプレミアム価格設定でした。引き算の美学によって生まれた圧倒的な純度こそが、リピーターを惹きつけてやまない最大の要因です。