近年、「一見さんお断り」の思想は京都の伝統文化の枠組みを飛び越え、東京や大阪をはじめとする都市部のグルメシーン全体へと急速に広がっています。鮨、日本料理、イノベーティブフレンチ、高級焼肉などを中心に、「完全紹介制」「住所非公開の会員制」を掲げる店舗が珍しくなくなりました。
背景にあるのは、デジタル社会特有のリスク管理です。予約の無断キャンセル(No-Show)による莫大な食材ロスを防ぐため、あるいはSNS上での誹謗中傷や炎上リスクからスタッフや他のお客様を守るため、信頼できる顧客コミュニティだけで席を埋めるビジネスモデルが支持を集めています。
現代の会員制店舗では、クラウドファンディングでの会員募集や、「OMAKASE」「TableCheck」といったオンライン予約プラットフォームでの事前デポジット(事前決済)決済が融合しています。かつてはアナログな「顔の見える信頼」に頼っていた一見さんお断りの仕組みが、テクノロジーを活用した「安心・安全な空間設計システム」へと再定義されているのが現在の大きな潮流です。