日本を含む多くの先進国が一夫一婦制を採用する中、なぜこれらの地域では一夫多妻制が維持されてきたのでしょうか。その根底には、単なる個人の嗜好ではなく、過酷な環境を生き抜くための社会福祉的・共同体防衛的な背景があります。
歴史的に見ると、中東やアフリカでは部族間の抗争や過酷な砂漠気候、狩猟生活などにより、成人男性の死亡率が極めて高い時代が長く続きました。男性の戦死によって残された未亡人や孤児は、自力で生計を立てることが難しく、経済的困窮から餓死や略奪の危機に直面しました。
そこで、経済力のある男性が複数の女性を妻として迎え入れ、生活の糧と安全を保障する「相互扶助のセーフティネット」として制度が整備された経緯があります。また、農耕や牧畜を主産業とする地域では、家族の構成員が多いこと自体が労働力の確保と部族の勢力拡大に直結していたことも、制度を後押しした大きな要因です。