遺産分割協議書を作成する際、もっとも警戒すべきは「財産の特定ミス」だ。日常的な通称や曖昧なメモ書きのまま記載された協議書は、公的な名義変更の現場では一切通用しない。
土地や建物などの不動産を記載する場合、登記簿謄本(全部事項証明書)に記載されている「所在・地番・地目・地積」や「家屋番号・構造・床面積」を一字一句狂わずに転記しなければならない。住居表示(普段使っている住所)をそのまま書いてしまい、法務局で門前払いを食らう例は後を絶たない。
預貯金の指定についても同様の厳密さが求められる。金融機関名、支店名、預金種別(普通・定期など)、口座番号を正確に書き込み、被相続人名義の残高を誰がどのような割合で承継するのかを一意に特定する文言が不可欠となる。後から見つかった未知の財産をどう扱うかという「清算条項」を末尾に添えておくことも、再協議の手間を防ぐ実務上の鉄則だ。