私たちが毎朝何気なく口にしている「おはようございます」は、どのような歴史をたどって現代の形になったのでしょうか。その起源を探ると、日本の伝統芸能である歌舞伎の世界に行き着きます。
江戸時代、歌舞伎の舞台裏では、役者や裏方スタッフが本番に向けて早い時間から楽屋に入り、化粧や衣装の準備、稽古に励んでいました。そうした早い時間から劇場入りして準備を進める関係者に対して、後から入ってきた人や周囲のスタッフが「お早くからのご到着、ご苦労様でございます」と、相手の労をねぎらい敬意を払ったのが言葉の始まりです。
文法的には、形容詞「早い」の連用形「早く」がウ音便化して「早う(よう)」となり、接頭辞「お」と丁寧の補助動詞「ございます」が組み合わさって成立した敬語表現です。つまり、お早うございます 語源の本質は、単に「朝という時間帯を告げる言葉」ではなく、「相手が早くから行動していることに対する敬意とねぎらい」にありました。
なお、表記については公用文や現代のビジネス文書では平仮名の「おはようございます」が一般的です。漢字表記の「お早うございます」も間違いではありませんが、平仮名表記のほうが柔らかく親しみやすい印象を与えるため、現代のメディアやチャットツールでは平仮名が広く推奨されています。