バーカウンターを覗くと、鮮やかな色彩のグラスが整然と並んでいる。だが、そこにアルコールは滴一滴も含まれていない。
植物由来の機能性成分「アダプトゲン」を巧みに配合したエルダードリンクや、地元のオーガニックハーブを抽出したクラフトモクテル。1杯1,800円という強気のプライシングにもかかわらず、注文を待つ客の列が途切れることはない。「翌日のパフォーマンスを落としたくない」「純粋に音と空間のバイブスを楽しみたい」という若年層の需要に、店舗側が見事に応えた格好だ。
実際の売上データもこの大転換を裏付ける。都内主要ヴェニューにおけるノンアルコールおよびヘルスケア系ドリンクの売上比率は、全体の4割を突破した。酒を飲ませて客単価を上げるという昭和・平成型のビジネスモデルは終わりを告げ、高品質な体験そのものに正当な対価を払う「プレミアム・ウェルネス」の時代へ完全に移行した。