洋麺屋五右衛門を手がけるのは、「洋食の味覚を日本人に最も馴染む形で届ける」ことに長けた大手外食企業、日本レストランシステム株式会社です。同社が1970年代に渋谷の小さな一角からスタートさせた五右衛門が、なぜ半世紀にわたって支持されているのか、その背景には緻密に計算された3つの独自性があります。
第一に、「お箸で食べる」という身体性の確立です。フォークとスプーンで巻き取る西洋の作法は、日常の食事において一定の緊張感を伴います。お箸で気兼ねなくすするスタイルを定着させたことで、老若男女問わず誰もがリラックスして味わえる食空間を生み出しました。
第二に、特注の有田焼と盆(トレー)による視覚演出です。漆黒の盆に鮮やかな有田焼の大皿が鎮座し、そこに盛り付けられる色鮮やかな食材のコントラストは、食欲を刺激するだけでなく「和の上質感」を演出します。パスタを単なる軽食ではなく、きちんとした和食御膳として格上げした功績は計り知れません。
第三に、直輸入のイタリア産デュラムセモリナ粉パスタを「五右衛門釜」で泳がせる技術です。大量の沸騰湯の中で対流させながら茹でることで、中心にわずかな芯を残す絶妙な食感を実現しています。日本の乾麺文化と本場イタリアの素材が見事に融合した結果が、現在の盤石なブランド力につながっています。