湖のほとり、木々に抱かれるようにひっそりと佇むペイネ美術館は、フランスの著名な画家・イラストレーターであるレイモン・ペイネの作品を専門に扱う世界屈指の美術館だ。彼が描いた「恋人たち」のシリーズは、時に愛らしく、時にピリリとした風刺を効かせながら、世界中の人々に平和と愛の尊さを伝えてきた。
驚くべきは、この美術館の建物自体が前述のアントニン・レーモンドの旧スタジオであるという点だ。モダニズム建築の力強い架構と、ペイネが描く柔らかなタッチのリトグラフや水彩画が、不思議な調和を生み出している。
館内に足を踏み入れると、外界の音が吸い込まれるような静寂が広がる。愛をテーマにした原画の数々は、眺めているだけで荒だった心を優しく解きほぐしてくれる。ベンチに腰掛け、窓外の緑と室内のアートを交互に眺める時間は、自分自身を取り戻すための豊かなリトリートとなる。