岩田氏のキャリアを語る上で欠かせないのが、故・安倍晋三元首相との極めて強固な信頼関係です。「安倍首相に最も近い記者」と称され、歴代最長政権のキーマンたちとダイレクトに情報交換ができる唯一無二のポジションを確立しました。
しかし、その圧倒的な存在感ゆえに、ネット上や一部の政治評論家からは「政権寄りすぎるのではないか」という批判的な視線が注がれることもありました。これに対し、本人は著書やインタビューで「取材対象と深く信頼を結ぶことと、報道の客観性を保つことの葛藤」を赤裸々に吐露しています。政権中枢の肉声を聞き出すための徹底した人間関係構築は、生半可な覚悟で務まるものではありませんでした。
2026年7月末、岩田氏は長年勤めたNHKを退職しました。この電撃的な退職劇には、直前に起きた安倍元首相の銃撃事件が深く影響していると各メディアで報じられました。長年取材を重ねてきた最重要の取材対象を喪失した衝撃とともに、組織という枠組みを離れて自らの言葉で日本の針路や政治の内幕を発信したいという強い思いが、50代での独立を決断させた決定的な要因でした。