日が落ちてからの燕三条は、昼の金属音とは打って変わって胃袋を刺激する匂いに包まれる。ホテルを一歩出れば、極太麺と煮干し出汁、そして丼一面を覆う純白の背脂が特徴的な燕背脂ラーメンの名店が点在する。冷えた身体にあのスープを流し込む瞬間、この街の労働者たちが何をエネルギー源にしてきたのかが理屈抜きで腑に落ちる。
一方で、近年の燕三条は洗練されたダイニングの台頭も著しい。地元の金属カトラリーを贅沢に使い、新潟の地野菜と日本海で揚がった鮮魚を提供するイタリアンやビストロが点在し、ホテルを起点にタクシーで数分走れば、クリエイティブな夜餐に出会える。夜の選択肢の広さもまた、この宿の立地が担保してくれる恩恵のひとつだ。