海岸から少し足を伸ばすと、歴史の深みに触れることができる。龍郷町は、幕末の英雄・西郷隆盛が愛加那とともに暮らした庵が残る地だ。政治の暴風雨から離れ、奄美の風土に包まれた西郷が眺めたであろう海の色は、今なお変わらぬ蒼さを保っている。
このエリア一帯は奄美群島国立公園に指定されており、厳重な環境保護規制のもとで管理されている。海岸背後に迫る濃密な亜熱帯の森と、白砂青松のコントラストは、単なるリゾート地とは一線を画す原始の力強さを漂わせる。
海岸線を歩けば、アダンやガジュマルの巨木が風にそよぎ、亜熱帯特有の植物群落が視界を彩る。潮騒の音を聞きながら歴史の足跡を辿る時間は、都市の喧騒で疲弊した感覚をゆっくりと研ぎ澄ましてくれる。