やく氏が実践した減量アプローチは、奇をてらったものではなく、徹底した自己規律に基づく王道の生活習慣改善でした。自著やインタビューで断片的に語られている減量手法の柱は、主に以下の2点に集約されます。
第1に、極限までの炭水化物コントロールと間食の全廃です。かつて好んでいた白米や麺類、甘味類を大幅にカットし、主食を野菜、海藻類、高タンパク・低脂質な食材(鶏肉、魚介類、大豆製品)へとシフトさせました。相撲部屋の取材や地方巡業の付き合いなどで高カロリーな食事に接する機会が多かった生活を改め、自宅での食事管理を厳格化したことが劇的な体重減少をもたらしました。
第2に、継続的な有酸素運動(ウォーキング)の日常化です。激しいウエイトトレーニングではなく、街歩きや移動時の徒歩移動を積極的に取り入れ、1日あたり1万歩以上をコンスタントに歩く生活を習慣づけました。昆虫採集や珍品収集といった元来のフィールドワーク趣味と歩行運動を結びつけたことも、挫折を防ぐ要因として機能しました。
しかし、シニア期における大幅な脂肪減少は、皮下脂肪の減少とともに顔面の皮膚のたるみや首筋の筋張りを引き起こします。本人の身体内部では「検査数値の劇的な改善」という健全な成果が得られていた一方、テレビ画面越しには「急激な老化・衰弱」として映ってしまった点が、病気説を生み出す最大の皮肉となりました。