ハヤブサがなぜこれほどのリスクを冒して急降下するのか。その理由は、ドバトやヒヨドリ、カモ類といった飛翔能力の高い鳥類を確実に捕食するためのハヤブサ狩りの仕組みにあります。
水平飛行での追いかけっこでは、獲物に逃げられるリスクが高まります。そこでハヤブサは獲物よりもはるか上空の「太陽を背負う位置」へ陣取り、相手の死角から急降下を仕掛けます。これが猛禽類の捕食行動における最も研ぎ澄まされた戦術です。
捕食の瞬間、ハヤブサは獲物を掴み取るのではなく、握りこぶしのように固めた鋭い後趾(後ろの爪)で獲物の胴体やすれ違いざまの翼を時速200〜300kmの衝撃力で強烈に蹴り飛ばします。このインパクトエネルギーは凄まじく、標的となる鳥は空中ですでに絶命するか、一瞬で意識を失って地上へ落下します。衝撃で粉砕した獲物を空中で反転してキャッチする、あるいは地上へ落ちた個体を安全に回収するのがハヤブサの必勝パターンです。