昂大氏もかつてはラグビーに親しみ、父と同じ楕円球の魅力に触れていた。しかし、彼の人生の針が大きく旋回した瞬間がある。それが、父・誠二氏を襲った胆管がんの発症だった。
2015年に病が判明して以来、家族は絶望の淵に立たされた。その過酷な闘病生活の中で、家族を支え続けたのが、平尾誠二氏の親友である京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥教授だった。最先端の医療知識と人間味あふれる温かさで父に寄り添う山中教授の姿、そして現場の医師たちの懸命な姿勢に、昂大氏は強く心を揺さぶられた。
「病で苦しむ人を助けたい。父のような患者とその家族を救う存在になりたい」。楕円球を追う道から、命の現場へと向かう決意が固まった瞬間だった。