多くの日本人にとって「殉職」という語感は、昭和のテレビ文化と深く結びついている。日本のエンターテインメント史において、殉職を劇的なクライマックスとして定着させた最大の存在は、石原裕次郎が出演した伝説的刑事ドラマ『太陽にほえろ!』だろう。
若手刑事が犯人の銃弾に倒れ、最期の言葉を残して息絶える――。劇的な音楽とともに描かれたショッキングなシーンは、お茶の間に強烈な印象を刻みつけた。当時の刑事ドラマは、警察官の命がけの戦いをロマンティシズムとともに描き出し、「殉職=尊い自己犠牲」という強烈なイメージを世間に定着させていった。
しかし、フィクションにおけるドラマ性と、現実の警察・行政組織が直面する凄惨な現場との間には大きな乖離が存在する。画面の向こう側の美談の陰で、実際の現場では惨劇を未然に防ぐための装備改善や安全検証が繰り広げられてきた。