開いてしまった、あるいは狭まりすぎた脈圧を是正し、血管のしなやかさを取り戻すにはどうすればよいのか。まず取り組むべきは、動脈硬化の進行を食い止める食事と運動による生活習慣の抜本的見直しです。
食事療法の柱となるのは、徹底した減塩です。食塩の過剰摂取は体内の浸透圧を狂わせ、循環血液量を増やして血管内皮に持続的なダメージを与えます。目標は1日6g未満。同時に、体内の余分なナトリウムの排出を促すカリウム(アボカド、ほうれん草、海藻類、バナナなどに豊富)や、血管内皮の柔軟性を高める一酸化窒素(NO)の産生を助ける抗酸化成分、青魚に含まれるEPA・DHAを意識的に摂取することが血管の若返りを後押しします。
運動においては、急激な血圧上昇を招く重いバーベルを使った無酸素運動は避け、軽度から中等度の有酸素運動を習慣化することが推奨されます。やや息が弾む程度のウォーキングや軽いジョギング、水中歩行を1回30分、週に3〜4回実施することで、硬くなった末梢血管が拡張し、大動脈の血管コンプライアンス(伸展性)が改善することが複数の臨床試験で立証されています。
【プロの結論】早期受診の基準と「受診すべき人・様子を見てよい人」のチェックシート
生活改善を試みる一方で、医療機関での精密検査を躊躇してはならないケースを明確にしておく必要があります。「血圧の差に違和感があるとき、何科を受診すべきか」という疑問に対する明確な答えは、心臓と血管のスペシャリストである循環器内科です。かかりつけ医がいる場合は一般内科でも構いませんが、脈圧の異常には心臓弁膜症や不整脈、血管プラークが絡むことが多いため、心エコー検査や血管内皮機能検査(FMD)、CAVI/ABI(動脈硬化検査)が即座に実施できる循環器専門医への受診が最も確実です。
以下に、自身の状況を客観的に判断するための判定基準をまとめました。
【即座に受診すべき人の条件】
・家庭血圧測定で脈圧が「65mmHg以上」または「30mmHg以下」が1週間以上継続している
・血圧の上下差に加え、動悸、息切れ、胸の違和感、めまい、立ちくらみなどの自覚症状がある
・過去に心電図異常を指摘されたことがある、または糖尿病・脂質異常症を併発している
・高齢期(65歳以上)で、上の血圧が150を超え、下の血圧が60未満まで乖離している
【生活改善を行いつつ様子を見てよい人の条件】
・脈圧が45〜55mmHgの適正範囲内に収まっている
・一過性のストレスや激しい運動直後、睡眠不足の日に一時的に数値がズレたが、翌日には戻る
・胸痛やめまいなどの自覚症状が一切なく、直近の特定健診でも血管系の所見がない20〜30代