選挙違反の代名詞とも言えるのが「買収・利害誘導」ですが、その成立範囲は一般の感覚よりも遥かに広く設定されています。公職選挙法違反における買収の境界線は、直接的な現金の授受だけに留まりません。
有権者に対してお酒や食事を振る舞う「供応接待」、当選後に特定のポストや利権を約束する「利益誘導」、さらには陣営スタッフへの規定外の陣中見舞いや弁当の過剰提供なども買収とみなされるリスクを孕んでいます。法律上、提供が許されている飲食物は「湯茶及び通常用いられる程度の茶菓」(せんべい、みかん程度)と、法律で定められた定額以内の弁当(運動員用)に限られます。有権者に缶ビールを1本配るだけでも、立派な買収罪が成立します。
そして、候補者本人を直接破滅に追い込むのが連座制の対象者と適用条件です。連座制とは、候補者本人が違反に関与していなくても、以下の関係者が買収などの重大な選挙犯罪を犯して有罪が確定した場合、候補者の当選が無効となる制度です。
・総括主宰者(選挙事務所の事務長・事実上の選対トップ)
・出納責任者(資金管理を担当する責任者)
・地域統括主宰者(特定地域の選対責任者)
・候補者の親族(配偶者、父母、子、兄弟姉妹)
・組織的選挙運動管理者等(候補者が所属する政党・団体の幹部など)
連座制が適用されると、当選無効に加えて、同一選挙区から5年間の立候補が禁止されます。候補者が「指示していない」「知らなかった」と主張しても、監督責任を厳格に問われる仕組みになっています。