『パルプ・フィクション』が映画界に与えた衝撃は、単なるヒット作の誕生にとどまらない。配給を手掛けたミラマックスは、本作のカンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞を契機に、インディペンデント映画をメジャー大作と真っ向から勝負させる巨大なビジネスモデルを確立した。
スタジオ主導のブロックバスターが席巻していたハリウッドにおいて、時系列をシャッフルした複雑な脚本と、延々と続く無駄話のようなダイアログで構成されたクライム映画が世界興行収入2億ドルを突破した事実は、業界の構造を根本から覆した。レストランでの長回しの会話劇が映画のハイライトになり得ることを、タランティーノとミラマックスは見事に証明したのである。