ガンプラにおける汚れや傷の表現を語るうえで、1990年代半ばに登場したOVA『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』の存在は外せない。東南アジアの鬱蒼とした密林を舞台に、湿気や泥にまみれ、錆びつきながら戦い続ける陸戦型ガンダムたちの姿は、模型シーンに決定的な地殻変動を起こした。
この潮流を牽引したのが、模型専門誌『月刊ホビージャパン』の作例や、川口克己(川口名人)をはじめとするトップモデラーたちだ。彼らが誌面で提示したミリタリーモデル由来の汚し技術は、日本のプラモデル・模型製造業全体の進化と共鳴しながら、キャラクターモデルの枠を飛び越えた新しい表現文法を確立していった。